2020年02月03日

本の話239・吉田千亜 「孤塁 双葉郡消防士たちの3.11」

吉田千亜 「孤塁 双葉郡消防士たちの3.11」 岩波書店

職場の人に借りて読んだ単行本。

福島県双葉郡内の消防士たちの
東京電力福島第一原子力発電所(イチエフ)事故からの数日と
そして現在の様子を描いたルポルタージュ。

当時東京のニュースなどでは報道されることのなかった
現地の消防士たちがどれだけ大変な中で
それでも死力を尽くして活動されていたのかが伝わってくる。

自らも被災者でありながら、家族のことを思いながらも
地域の被災者を救助していく姿と
放射能汚染による自身の健康被害に不安を覚えながらも
要請に基づきイチエフへ向かう彼らの存在に
未だ収束していない原発事故を【復興】という言葉で
覆い隠そうとする現政権下でこそ記録として、
そして記憶として残すことの大事さを思う。

避難の遅れた被災者を避難所へ送り届ける際に
タイベックスーツを着ていたことで
先に避難していた被災者から心無い言葉を言われ心が傷ついたり、
家族の言葉に消防士を続けるかどうか悩む姿に
読みながら申し訳なさを感じた。

同時に重大事故の際、組織を超えた情報共有のあり方や
放射能汚染での差別が受け手に与える影響などを
考えるうえでも読む価値があると私は思った。
posted by t0-k0 at 20:07 | Comment(0) | 本の話

2019年11月13日

本の話238・三浦英之 「南三陸日記」

三浦英之 「南三陸日記」 集英社文庫

こちらは「水の消え大河で」と一緒に購入。

こちらのほうが先に文庫化されていたのに、
読む順番が逆の自分。


新聞連載コラムが元となっている
ということで、ひとつひとつの文章が短い。

その分、余計なものをそぎ落とした文章は
当時の人たちへの記者の眼差しを感じさせてくれる。

南三陸町に住む人々の3・11後からの約一年が
写真とともに納められていて、
まだ8年しかたっていない今だからこそ、
忘却の彼方に押しやってしまわないように
との祈りが込められているのかもしれない。

他者の痛みを想像できる人になりたいと、
読み終わった今、強く思う。
posted by t0-k0 at 20:46 | Comment(0) | 本の話

本の話237・三浦英之 「水が消えた大河で ルポJR東日本・信濃川不正取水事件」

三浦英之 「水が消えた大河で ルポJR東日本・信濃川不正取水事件」 集英社文庫


この本はTwitterで知り、
別の本を探しに行った本屋さんで
偶然もう一冊とともに見つけて購入。

探してた本は見つからず、気長に探す予定だけど、
本当に縁は異なものだなぁ。

読みたいと思ったきっかけは、
記憶にかすかに残っていた
JRの不正取水事件のこと。

当時は詳しく知ることもなく
過ぎてしまったけれど、
本書を読んでこういう経過だったのか
と改めて知ることができた。

あの「信濃川」がほとんど水の流れていない箇所を
持つことは衝撃だった。

事件が明るみになったのを契機に、
それなりの水量に戻ったそうだけれど、
いつまた同じことが繰り返されるとも
限らないなぁ、と読みながら思った。

同時に市民活動を現実的な面から支援し、
冷静に見つめ物事を進めていく首長を
持つ大事さと、
決して一年二年ではなく
長く運動を続けることの大切さも。

同時に著者も触れているけれど、
目先の経済だけで地方を収奪する中央という構図は、
イチエフや他でも繰り返されていることに
一有権者として忸怩たる思いも持った。

目をそらしてはいけない問題だな、と。
posted by t0-k0 at 20:43 | Comment(0) | 本の話